Dear


 いっそ捨ててくれれば良かったのに、と思っていた。
 私と共に居ると不幸になると――少なくともそう囁かれていると――あの人は知っているはずなのに。それならいっそ憎んでほしかった。憎んで恨んで厭うて壊してほしかった。なのに、あの人はそうしなかった。今までは。
 だから今、私は嬉しいのかもしれない。あの人が悲壮に壮絶に顔を歪めて、私を壊し

 真珠が飛ぶ。
 呪いのネックレスは、呪いごと弾け飛んだ。


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